なりそこない

正常にも異常にも、幸せにも不幸せにもなりそこなった存在

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

図書室の主

自治体設営の図書館はどことなく居心地が悪い。すぐに読んでしまうから、と言ってなかなか本を買ってもらえなかった私にとって貴重な活字の供給地だったが、だからといって入り浸ることはなかった。 代わりに私が愛したのは、学校の図書室だった。自治体の図…

わたし、あの娘、彼等、あなた。

「同性愛は生物学的に間違っている」 といった言論を振りかざすやつは大嫌いである。同性愛者に対して全く歩み寄る気がない言論であることは言うまでもない。それだけでなく生物学、また生命に対して、その深遠を重機でザクザク埋め立てるような発言だと思う…

優しい名無しさん:「人生は死ぬまでの暇つぶし」

数年前に某巨大掲示板で見かけた書き込みが頭を離れない。いや、正確には原文と違った形で記憶しているのかもしれないが、とにかくこの文言は自分の最根底の行動指針となっている。 「人生は死ぬまでの暇つぶし」 なんと消極的で刹那的な考え方だろうとは思…

欲にまみれて、生死

ここ数日、これまで散々悩まされ続けてきた食欲と、食欲の代替として利用しまくっていた性欲が驚くほど落ち着いている。食欲については普通に三食採っているのでないわけではないのだが、毎日のように襲ってきていた過食衝動らしき苛立ちがかなり小さくなっ…

選んだ本は君のこころを外界に表現してくれる強力なツール、かもしれない

ハイティーンくらいの子供たちは、どこか悪ぶりたがるものである。些細なところでは、自分がいかに勉強をしていないか自慢するだとか、法律違反かつ大して味もわからないアルコール飲料を摂取してみるだとか、すでにティーンを通り越してしまった人にも憶え…

七月蝉の

うるさい、と言えば、五月蠅い、と書くが、七月蝉い、と書くほうが適切なのではないだろうかと夏になるたびに思わされる。もう少し前のことになるが、梅雨明けの発表が出た翌朝、突然蝉たちの声に確かな圧力を感じるようになった。あまりにも正確なその季節…

自己顕示欲の行方

他人に自分の考えを伝えようとするとき、言いたかったことは決まって何万光年ものかなたまで飛んでしまう。重たく渦巻いていたはずの感情まで一緒に失われてしまうから、互いにどう思っているのか話し合おうとするときにはただ、金魚のように口をぱくぱくさ…